『北方領土はロシア領』と公言してきた人が次期大使?

韓国政府および国民を代表し、まもなく日本に赴任すると報じられる姜昌一(カンチャンイル)次期韓国大使予定者は、戦後最悪と言われる日韓関係の立て直しに、果たして貢献できうる人なのでしょうか?
私が調べただけでも、わんさと出てくる彼の反日的言動の数々。反日活動家の記録かと思いきや、何と昨年4月まで韓国国会議員を4期務めたベテランで、次期駐日大使となる人物の経歴だと聞いて、驚きを禁じ得ません。
彼は、ロシア当局のビザ(入国査証)を取得して、韓国国会議員として歴史上初めて北方領土に上陸し、「北方領土はロシア領」と累次発言したことが、日韓両国で報道されています。
北方領土は、日本固有の領土であり、百歩譲って、北方領土の返還交渉は、日ロ二国間の外交問題です。そこに当事者でない第三国である韓国の国会議員が首を突っ込み、(ロシアの主権、統治権を認めることになる)ロシア政府発行の特別なビザを使って上陸、「ロシアの実効支配を確認した」などと公言してきた人を、駐日大使として、わだかまりなく歓迎できるものでしょうか?
「北方領土はロシア領」と繰り返してきた姜氏の発言は、当然ながら日本政府および、自民党から共産党まで我が国における全ての主要政党の見解と相容れません。北方四島の島で生まれ、敗戦後、武装したソ連兵によって不法に故郷を追われ、領土返還運動に生涯をささげてきた旧島民の方々、北海道、国民感情を逆撫でする行為です。しかも彼がロシアと結託し、韓国国会議員として歴史上はじめて国後島に上陸したのは平成23(2011)年5月、東日本大震災発災直後のことです。
民主党 菅内閣のもと、日本は観測史上最大規模(マグニチュード9)の地震と津波、原子力災害という複合災害に見合われました。当時は、余震に怯えながら、まだ津波で流された行方不明者の捜査、仮設住宅の整備もままならない時期です。日本国中の国民が「がんばろう日本」を合言葉に助け合い励まし合い、同盟国であるアメリカがトモダチ作戦を展開し、台湾の小学生までもが日本復興のために莫大な民間義援金を募ってくれていた時期に、隣国(友好国)であるはずの韓国の国会議員が、「国難で手一杯の日本、今が攻め時」と言わんばかりに、北方領土への上陸を強行し、領土問題でロシアを利する言動を国際社会にアピールしました。
万が一隣国である韓国が、未曽有の災害や深刻な南北対立事案に見舞われ、その厳しさに国挙げて悲しみ苦慮している時、私達日本人は、「今がチャンス」と言わんがばかりに韓国の国民感情を逆なでするような島の上陸を、第三国と結託して強行するでしょうか?上陸地について韓国とは相容れない主張を日本の国会議員が喧伝した場合、韓国国民は、その暴挙先導者を「日本を代表する大使として歓迎」してくれるほど寛容、「お人好し」でいられるものしょうか?
危機の時にこそ、誰が真の友であるかが分かると言います。危機の時にこそ、その人の本性が現れると言います。世界中が固唾をのんで経過を見守り、祈り、支援の手を差し伸べてくれた日本最大の危機に際し、日本をあざけわらうがごとくの反日行動を、第三国を巻き込んでやってのけた主導者が、果たして日本国民との信頼を築けるのでしょうか。
懸念は別の側面にも及びます。「北方領土はロシア領」との姜氏の発言が不問のまま、韓国を代表する特命全権大使として日本に赴任した、という人事案件がロシアで報道されたならば、彼の許されざる主張を日本が是認したかのようにロシアに映るのではないでしょうか?ロシアの思うつぼであり、北方領土を堅持する日本の国益を減じます。
「政治は人事。人事は政治そのもの」です。ましてや国家と国民を代表し、国益を背負って国際交渉を進める特命全権大使の重責であればこそ、両国の信頼醸成に足る人選を両国が慎重に進めなければなりません。戦後最悪と言われる日韓関係の立て直しを図るための、「韓国側のエース」だと標榜されるのであれば、当然、過去自らが主導した看過せざる反日言動についての、日本国民に対する説明責任は、問われて然るべきです。
参議院議員 有村治子