谷口智彦著「安倍晋三の真実」
4年前の9月に入閣した時、「官邸内のどこに何があるのかは口外しないで下さい」とオリエンテーションをされ、「危機管理上、確かに」と納得し、歴代大臣と同様、それを守ってきました。
しかし、毎週火・金の閣議に加え、7つの分野を担当する内閣府特命大臣だったので、官邸の総理執務室に伺うことが多々あり、官邸内でどう連携がとられるのか、要所を誰が仕切っているのか、官邸内のキリッとした「空気感」を肌で感じてきました。官邸や総理に関し、当時直感的に認識していたことについて、「あっやはり!」「なるほど、こういうことだったのね」と理解を深めることができた一冊が本書、総理のスピーチライターによる「安倍晋三の真実」です。
日々、内閣総理大臣に迫り来る激務や重圧への対処法、各国首脳との距離感や国家戦略の練られ方、要人間の信頼関係に基く人間模様や健康管理など、なかなか公開情報になりにくい官邸のバックグラウンドが、かなりリアルに紹介されています。
国や組織や業界全体を動かす構想を練り上げ、人を動かす言葉を絞り出すために、人知れず努力を重ねられる宰相の強靭さと、激務の中でも穏やかな笑顔でいようと努められている総理の温かい人柄が伝われば嬉しいです。